IASO®

Case 導入事例

リアルタイム集計と事務局の働きかけで、きめ細かな管理体制を実現

学校 100~999人 学校法人立教学院 立教大学

リアルタイム集計と事務局の働きかけで、きめ細かな管理体制を実現

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学校法人立教学院 立教大学
東京都池袋および埼玉県新座にキャンパスを構え、2024年には立教学院創立150周年を迎える。
化学物質管理体制を改善すべく、2013年よりIASO R6およびIASO G2を導入し、現在はIASO R7およびIASO G3をご利用中。

IASO導入の経緯とその効果について、総務部施設課の布施さん、遠藤さん、松坂さんにお話を伺いました。
(2022年9月取材)

決め手は「次に何をしたらいいか」がわかりやすかったこと

  • システムの導入経緯を教えてください。

松坂さん
きっかけは2013年。今の化学物質管理体制では不十分ではないか、という声が先生方や管理部門など全学から上がってきたんです。
対策検討のためのワーキンググループで、きちんと管理するには帳簿だけでは厳しいと考え、いくつかのシステムを試験運用して比較した上で最終的にIASOが選ばれました。

  • 候補の中からIASOを選んだ決め手はなんですか?

布施さん
IASOは「次に何をしたらいいか」がわかりやすかった。
検討段階でも実際に使用される先生方から「分かりやすい」という声を多くいただきました。それが決め手でした。
例えば、薬品登録画面(ビンの入庫登録)で保管場所などを入力せずにEnterを押すと、エラーメッセージが表示されて、入力項目がピカピカと光っている。
初めての人でも次にやるべき動作がわかる。要は、とっつきやすいんです。

入力漏れ
例:薬品の入庫登録時に「保管場所」の入力漏れがあった場合。

松坂さん
実務上でありがたいのはシステムが堅牢であること。
決して優しく扱っているつもりはないけど、動作停止するといったトラブルは一度もなく、安心して使えます。度々そんなことが起きていたら使う気がなくなってしまいますからね。

布施さん
ワーキンググループの後身として化学物質等管理委員会(全学委員会で委員長は研究推進担当副総長)を設置し、本委員会事務局がIASOの運用やトラブル対応、あるいは在庫確認などを含む化学物質管理全般を専門的に担当しています。
システム導入に対して現場の先生方は必ずしも賛成していたとは言えません。管理の手間が増えますから。
やはり、導入を推進出来る組織を持たなければ、年々厳しくなる法令に大学としての対応は出来ないと思います。


総務部施設課 布施さん

全学集計ができることで管理のルール整備と省力化につながった

  • IASO導入の効果はいかがでしたか。

布施さん
導入前は先生たちが各々Excelや紙の帳簿で薬品管理をしていましたが、全学で何がどれだけあるかを把握できていませんでした。
IASOの導入によって全学の在庫や使用量を集計できるようになり、それが統一的な取り扱いルール整備や報告書作成の省力化につながりました。

  • 化学物質リスクアセスメントは実施していますか?

布施さん
独自ルールに基づいて実施しています。IASOは対象物質を含む薬品を扱う際に注意喚起が表示されるのが助かります。

リスクアセスメント注意喚起
入庫登録や持出登録時に、化学物質リスクアセスメント対象物質には注意喚起を表示。

松坂さん
ExcelのVBAを使って、在庫データから対象物質を選ぶツールを作りました。これにより、年間で「どの研究室がどれだけの量を使ったか」のデータを出せます。
対象物質は基本的に「コントロール・バンディング」で判断しています。各薬品のリスクが判ったら、ツールで研究室ごとにリスクアセスメント一覧表が出る仕組みです。

※コントロール・バンディング:厚生労働省が無償提供している化学物質リスクアセスメントツール。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07_1.htm

布施さん
例えば、見積ったリスクレベルに応じて印刷したSDSをファイルに綴じて、該当化学物質の使用者に読んでもらうルールがあります。
また、「リスクアセスメント点検表」を一緒に渡して、リスクアセスメント対象化学物質毎にどのようなリスク低減措置を実施しているかを記入して提出してもらいます。
相当、きっちりやっていると思いますよ。

  • 手間を鑑みて「年間使用量が何kg以上」など、リスクアセスメント実施のしきい値を設けているケースもあります。自動化ツールがあるのは理想的ですよね。

松坂さん
化学物質リスクアセスメントは、IASOがなければできないでしょうね。
研究室側だって、事務局から「リスクアセスメントをしてください。」と言われても、IASOが無ければデータの取り様も判断の下し様もないですよね。
少なくとも「いつからいつまで」という集計をパっとできないと。無しでやれと言われたら、どうやるんでしょうね。笑

  • 利用規模については、薬品を使う研究室数と人数はどのくらいですか?

布施さん
研究室数が40弱で、人数は全体で200~300人くらいです。
IASOデータを基礎として、特殊健康診断の対象化学物質について調査・活用しています。
IASOデータから使用化学物質を判断出来るため、これと問診票から保健室が対象者を選んでいます。

巡視や呼びかけで在庫管理のヒューマンエラーに対処

  • 在庫管理にはどのようなルールがありますか?

松坂さん
各研究室が自分で棚卸をするルールです。また、使い方の確認や在庫のクロスチェックのため、委員会で年1回の巡視をしています。そのおかげで、研究室ごとの使い方の傾向や注意点もわかりますね。

遠藤さん
研究室毎に毒劇物の在庫リストなどを月次出力して委員会に報告しています。在庫の月次比較で動きが見えますから、小まめに登録している所も、そうでない所も判ります。


総務部施設課 遠藤さん

  • 薬品登録率の低い研究室への対策はありますか?

布施さん
担当の遠藤が呼びかけをしていて、そのマメさで登録率を保っているのが実情です。
例えば、同じ薬品が3ヶ月間も持出し中だったら、偶然としてもちょっとおかしい。その度に「返却登録を忘れていませんか。」といった呼びかけをしています。おかげで登録率は立派なものですね。笑

遠藤さん
共通メニューの「INFO」から、持ち出し中の薬品を調べられますよね。先生にその確認をお願いすると対応してくれます。
特に毒物の空ビンは、紛失や盗難がないように注意しています。空になった時点でIASOに空ビン登録をして、我々に連絡してもらうルールです。
我々は毒物が空になったことを示す写真を撮り、「毒物空瓶回収票」に記載して委員会に提出します。
連絡漏れもありますので、空ビン処理があったけど連絡がきていない所がないか、毎日確認しています。

持出中
上部共通メニュー「INFO」>「持出中薬品リスト」 より、持出中の薬品を確認可能。

松坂さん
そこまでやらないと、安心できない。もしも紛失があれば、果たして本当に紛失なのか、空ビンだったのかというのは判りませんから。
登録を徹底するためには「事務局はデータを見ていて、必ず何か言ってくる。」という、いい意味でのプレッシャーが必要です。


総務部施設管理課 松坂さん

  • 毒劇物向けの追加ルールもあるんですね。危険物はどのように管理していますか?

松坂さん
IASOの「指定数量計算機能」で指定数量の数値を頻繁に見て、リアルタイムで注意喚起をしています。
変に数値が上がっていると、登録忘れの可能性が感覚として大体わかります。
「こんなに上がるわけがない。これは本当に増えているんじゃなくて、空ビン登録のされていない空のアセトンが5、6缶ほど放置されているのでは?」
といったヒューマンエラーを見抜く勘が育まれるんです。
提出用の集計結果で指定数量を超えたものを握り潰すわけにいかないですし、本当に超過するなら指定数量の変更も考えなくてはなりません。
これが電卓を叩くのだったら大変ですけど、IASOで即座に見えますからね。ガスボンベについても、IASO G3で貯蔵量がわかるので助かります。

貯蔵量
IASO G3の集計機能「貯蔵量リスト」には、ガス種別ごとの貯蔵量と貯蔵所判定も表示。

遠藤さん
保管状況を記したハザードマップも作っています。もし監督官庁の立ち入りがあっても即座に貯蔵状況を提出できますし、火災のときには保管状況を即座に確認できます。

大切なのはIASOを活用した自律的な薬品管理

布施さん
棚卸ひとつ取っても、きちんとやらなければ年間で5%ずつ位ずれてしまいます。だから、巡視による保管状況の確認や、棚卸しによる修正が必要です。
管理方針やリスクアセスメントの程度についても、国から明確な基準が告知されているわけではありませんから、どのレベルで実施するかを自分たちで決めて評価していかなくてはなりません。
導入を考えている方は、システムを入れただけにならないように、組織として危機管理意識を持って活用してくことを前提に考えることをオススメします。

  • 「IASOを入れれば、薬品管理は大丈夫ですよね。」と認識されることが多いのですが、「IASOが薬品管理するのではなく、“支援システム”IASOを活用してその組織自身が薬品管理をする。」という前提があります。
    立教大学さんは、そんな「IASOを活用した薬品管理」の体現者だと思います。

松坂さん
少しでも我々の意見を反映していただければと思います。安定したシステムですよ。くどいようですけどね。

  • ありがとうございました。

本文に掲載していないものも含め様々なご意見・ご要望をいただき、運用方法の意見交換もいたしました。
システム導入前に注意点などについては、IASO.info記載のコラムも合わせてご覧ください。
■コラム:システムによる化学物質管理をはじめるにあたって(北海道大学 川上教授)

社名
学校法人立教学院 立教大学
事業内容
私立大学
設立
1874年
従業員数
2,500名
URL
https://www.rikkyo.ac.jp/
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