IASO®

Case 導入事例

IASOをいち早く導入し、薬品と高圧ガス管理を電子化

学校 100~999人 学校法人青山学院 青山学院大学

IASOをいち早く導入し、薬品と高圧ガス管理を電子化

IASOをいち早く導入し、薬品と高圧ガス管理を電子化

学校法人青山学院 青山学院大学
学校法人青山学院 青山学院大学
青山学院は1874年創立、1949年大学開校。
現在、東京都渋谷区と神奈川県相模原市にキャンパスを構え、2024年に青山学院創立150周年を迎える。
今回取材に訪れた相模原キャンパスは、世田谷キャンパス(理工学部)と厚木キャンパスからの全面移転により2003年に開設。
2017年には、環境保全・安全衛生を担う大学附置教育研究施設「環境安全センター」を設置。
薬品管理システムは、2008年にIASO R5を導入し、2022年からはIASO R7をご利用中。

環境安全センター
今回は、IASO R7による薬品および高圧ガス管理や安全管理の取り組みについて、
環境安全センターの山田さん、中田さんにお話を伺いました。
(2023年5月取材)

青山学院大学 環境安全センター
https://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/aoyama/esmc

IASOはスモールスタートができて良かった

  • IASO導入前の管理方法や課題はどのようなものがありましたか。

山田さん
IASO導入前は、研究室から薬品管理簿(大学規定の様式)を年1回提出してもらうことで在庫・使用量を把握し、管理を行っていました。
このような運用ですと、危険物倍数等、リアルタイムで必要な情報は別途収集しなければならず、非常に手間暇のかかる状況でした。

  • 薬品管理システムの中からIASOを選んだ決め手はなんですか?

山田さん
本学の薬品管理システム導入は比較的早く、2008年からIASO(当時はIASO R5)を使用しています。
IASOを選んだ経緯は、15年以上前のことで詳しくはわかりませんが、導入時の付属機能・周辺機器を必要最小限に設定でき、イニシャルコストを抑えられるのがIASOの利点ではないでしょうか。
もし導入後に必要なものがあれば、順次、買い足して補っていけばいいですから。
このフレキシブルさがユーザーに寄り添った提供方式と言えますので、今後も変えて欲しくないですね。

  • 現在の管理方法を教えてください。

山田さん
購入した薬品は、すべてIASOに[薬品登録]1するルールです。
それに加えて、[持出・返却]2ごとに計量する[重量管理]3を毒劇物取締法等の法令に準じて行っています。

※1[薬品登登録]機能
「在庫登録」と同義。IASOではビン1本1本に個別のIASOバーコードラベルを貼り付けて、
薬品マスタ(試薬の製品情報)とIASOバーコードを紐付けて[薬品登録]をします。

※2[持出・返却]機能
ビンを薬品庫から持出すときはIASOバーコードを読み取って持出登録し、返却時も同様に返却登録します。
これにより「誰が・いつ・どこの・何を・何の目的で・どのくらい使用した」を記録します。
ビンが後述の[重量管理]対象であれば「どのくらい」も記録できます。

※3[重量管理]設定
薬品ごとに管理方法(計量値を都度記録するか否か)を以下から設定できます。
・単位管理:計量値を都度記録しません。
・重量管理:[持出・返却]登録時にビン重量または使用量(容量)を記録します。
[重量管理]にすることで、ビンの見掛残量(履歴から計算した推定残量)をリアルタイムで監視可能。
毒物など、より厳格な管理が求められるものは[重量管理]を推奨しています。

CM_持出・返却_見掛残量.png
CHEMICAL MANAGAER>[持出・返却]画面
[重量管理]設定の薬品を返却する場合の表示。持出・返却時にそれぞれ計量値入力が可能。

  • 管理方法について、研究室の先生方との折り合いつけが大変という話もよく聞きます。

山田さん
本学も導入当初は慣れない管理に戸惑いがあったかもしれませんが、現在は、先生方も自主的かつ適切に管理することが当たり前との意識をしてくださり、非常にご理解・ご協力をいただいています。

環境安全センター 山田さん
環境安全センター 山田さん

  • 研究室数と利用人数はどのくらいですか?

中田さん
理工学部全体では70研究室ほどありますが、IASOを利用しているのは化学物質・ガスボンベを扱う研究室だけですので、30研究室ほどです。 この他、機器分析センターや、アイソトープ実験センター、機械工作室などもIASOを利用しています。
それら研究室の所属人数は学部生、大学院生、教員を合わせて600人ほどで、IASOのアカウント登録数は約半分です。
これは、学生は共用アカウントを使っている研究室などがあるためで、研究室の事情によって登録の仕方は柔軟にしています。

  • 何名体制でIASOを運用していますか?

山田さん
導入当初から2~3名で運用しています。現在は、我々(センター助手)2人です。
以前は、ユーザー・薬品等のマスタ登録操作は各研究室で行っていましたが、2017年に「環境安全センター」が出来てからは、センターでのみ行うことにしました。研究室から[マスタ申請]3をしてもらい、センターで内容確認・修正して承認・登録しています。
マスタ登録操作を全て担うのは大変ですが、あとから修正する手間を考えれば、この仕組みの方が効率的なんです。

※3[マスタ申請]機能
薬品、保管場所、ユーザーなどのマスタデータは、権限を持つユーザーアカウントのみ登録できます。
マスタの乱立防止や情報の信頼性担保のため、マスタ登録権限者を限定し、各部署からのマスタ登録は申請・承認を経て完了とする運用も可能です。

MM_マスタ申請_2.png
MAINTENANCE MANAGER>[保管場所マスタ申請]画面
一般ユーザーから管理者へ、各種マスタ登録をコメント付きで申請可能。管理者は、同じくコメント付きで承認/不承認の処理が可能。

棚卸は年1回、IASOへのデータ入力は研究室が責任を持って

  • 棚卸の頻度はどのくらいですか?

山田さん
年1回です。方法は、IASOの棚卸機能に加え、在庫リストを印刷してチェックするアナログな方式もOKとしています。
IASO機能による棚卸で注意している点は、同時ログイン数です。本学のIASOは最大同時ログイン数10アクセスですから、どこかの研究室が人海戦術を取ると、他がログインできなくなってしまいます。それを防ぐため、研究室ごとの同時ログイン数は2アクセスまでに制限しています。

  • 実際の在庫とデータの差異が出ることはありませんか?

山田さん
本学では、データの入力は全て研究室で行っています。
データの信頼性は、基本的に棚卸(年1回)を実施することで担保していますが、入力時の誤操作(勘違い)データのズレに少し困っています。

よくあるのは、使い切ったビンを[空ビン登録]5ではなく[廃棄薬品登録]6してしまうことです。
廃棄薬品登録したものは使用量として集計されず、使用量に誤差が生じてしまいます。
そのため、誤操作がないか定期的な確認が必要で、手間がかかってしまうんです。
原因は、使い切ったビンは「捨てる」イメージがあり、「捨てる=廃棄」と連想して[廃棄薬品登録]してしまうことではないかと。私も最初は間違えたので、学生の気持ちがわかります。

誤登録防止のために、例えば[廃棄薬品登録]画面で
《中身の残っているビンの廃棄処理で間違いありませんか?使い切ったビンは持出・返却から[空ビン登録]してください。》
といった注意表示が出るといいかと思います。

※5[空ビン登録]機能
ビンの中身を使い切った時、[持出・返却]機能より、返却時に「空ビン」として登録する操作。

※6[廃棄薬品登録]機能
ビンの中身を捨てる時、[廃棄薬品登録]機能より、中身を廃棄したものとして登録する操作。
廃棄登録された分は、使用量として記録されません。

CM_廃棄薬品登録.png
CHEMICAL MANAGERメニュー

  • 危険物の管理方法は薬品と分けていますか?

中田さん
危険物については、環境安全センターで月1回、IASOで在庫状況を確認して指定数量倍数を算出しています。
また、18L缶以上の大容量のものは研究室に置かずに、共用の危険物倉庫に保管する運用にしています。
危険物倉庫で保管しているものは、各研究室での棚卸(年1回)とは別に、環境安全センターで月1回の現品確認をしています。
今後、防火区画の設定や、それによる指定数量管理ができたら嬉しいです。

環境安全センター 中田さん
環境安全センター 中田さん

  • 実はIASO R7にも、防火区画による指定数量倍数の監視機能が追加されます。
    詳細は後日、ポータルサイトのニュースでお知らせいたします。(11月予定)

高圧ガスボンベもIASO R7で管理中

  • 青山学院大学では、IASOで高圧ガスボンベも管理しています。どのような経緯か教えてください。

山田さん
導入時に、高圧ガスも薬品と同じように扱えばIASO で管理できるとのことで、高圧ガスの薬品マスタを作り、薬品と一緒に管理し始めました。

  • 高圧ガスを使っている研究室も多いのでしょうか?

中田さん
研究室とセンターを合わせて30箇所くらいです。
ボンベの在庫本数は約200本なので、薬品に比べれば少ないですね。
貯蔵容積も、貯蔵所判定上の第一種貯蔵所に該当する容積までにはまだ余裕があります。

山田さん
高圧ガス管理向けにIASO Gシリーズがあるのは知っています。ただ、やはり最初から両方購入するのはハードルが高くて。
本学のような中~小規模の大学は、IASO R7ひとつで薬品も高圧ガスも管理できるのでオススメです。

  • 高圧ガス管理用の姉妹システム『IASO G3』は、[貯蔵所判定]機能7が目玉です。
    貯蔵所判定を考慮しなくてよい量であれば、IASO R7での在庫管理で十分かもしれませんね。

※7[貯蔵所判定]機能(IASO G3)
高圧ガス保安法により高圧ガスを貯蔵する事業所は、ガスの種類と貯蔵容積により3段階の貯蔵所区分(第一種貯蔵所、第二種貯蔵所、その他の貯蔵所)に分けられます。貯蔵所区分によっては許可や届出が必要になるため、基準量を超えないように貯蔵容積のリアルタイム管理が求められます。
IASO G3は、貯蔵量集計の結果から該当する貯蔵所を表示します。

GAS_DM_貯蔵所判定.png
IASO G3 DATA MANAGER>[貯蔵量リスト]画面
保管場所(建物)を取りまとめた「管理区域」を登録しておくことで、ガス種別と貯蔵量を加味した貯蔵所判定を表示します。

IASOのデータを測定に活用

  • 環境安全管理について、独自の取り組みなどはありますか?

山田さん
相模原キャンパスでは、開学時より「作業環境測定」「騒音測定」「排ガス測定」等の各種測定を実施し、実験室の安全や生活環境の保全に心がけています。約20年前ですから、大学としてはかなり早い時期からの取り組みになるのではないでしょうか。
このような取り組みにもIASOのデータが役立っています。キャンパス内のどこで何を使っているかがわかりますからね。
今後、リスクアセスメント向けの機能も加われば、嬉しいです。

  • 多くいただいている要望です。
    化学物質リスクアセスメントには、作業場所や作業内容、作業時間などのIASOでは記録していない要素が必要ですので、IASO単体で完結できません。
    そのため、IASOで対象物質の使用量データを抽出してから、別途コントロールバンディングやクリエイトシンプル等の評価システムでリスクアセスメントを行うのが一般的です。
    今後、各種評価システムに入力しやすいデータの出力方法を検討する予定です。

社会へ出ていく学生へ、「面倒でも記録する」意識付けを

  • 大学での運用方法でお聞きしたいのが、学生への使い方の周知方法です。
    初めてIASOに触れる学生には、どのように使い方を教えていますか?

山田さん
本学の運用ルールに合わせたマニュアルを別途作成し、周知に役立てています。
「保管場所マスタやユーザーマスタを登録したい場合は、環境安全センターに連絡してください。」
など、「この場合はどうするか」を具体的に示して学生にわかりやすくマニュアル化しています。

大学オリジナルの操作マニュアル
大学オリジナルの操作マニュアル

中田さん
マニュアルをはじめ、必要な情報は学内向けウェブサイトページで順次公開しています。

青山学院大学_学内向けホームページ_トリミング.png
学内向けの環境安全センターウェブサイトページ

山田さん
労働安全衛生規則等の一部改正により、2023年4月から、化学物質の「自律的な管理」への変革が始まっています。
これからは、自分たちで取り扱う物質の危険有害性を理解し、自発的に管理していくという教育が大切です。
だから、IASOへの記録作業なども、学生の皆さんに積極的に関わってもらうべきだと思います。
そのために、私達は円滑なシステム運用をサポートします。

中田さん
IASOの利用もそうですが、化学物質を取り扱うときには法令なども含めていろいろなルールに従う必要があります。
学生の皆さんには、普段の実験・研究を通して
「薬品なら薬品、高圧ガスなら高圧ガスを一つ取り扱うにしても、いろいろな法令・ルールに規制されている。」
ということを認識し、面倒でもルールに従うことの必要性を理解してもらえればと思っています。
機会があれば話すようにはしていますが、ルールには必ず意味がありますからその意味まで考えてもらいたいですね。
環境・安全に限ることではありませんが、学生のうちからこうした意識付けができていれば、社会人になってから戸惑うことも少なく、それぞれの職場へ適応しやすくなると思います。
環境や安全を担当する組織は生産性という意味では日が当たることは少ないですが、事故を防ぐことに加えて、このような意識付けを学生さんにしっかり学んでもらうためにも必要な組織だと考えています。

  • ありがとうございました。

本文に掲載していないものも含め様々なご意見・ご要望をいただき、運用方法の意見交換もいたしました。
システム導入前に注意点などについては、IASO.info記載のコラムも合わせてご覧ください。
■コラム:システムによる化学物質管理をはじめるにあたって(北海道大学 川上教授)

【キャンパス紹介】広大な緑地に小川も

相模原キャンパス構内をご案内いただきました。

ガーデンエリア
「ウェスレー・チャペル」から広がるガーデンエリア

建設工事の際に出る掘削土を学外に持ち出さず盛土として利用し、起伏のある変化に富んだ景観を造りました。
晴れた日にはのんびりと芝生でランチも。
四季折々に目を楽しませてくれる花木が散在するオープンエアの憩いの場です。

(大学WEBサイト キャンパスマップ(相模原)より)
https://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/sagamihara.html

ビオトープ
広大な芝生の一画に設けられた小川

カルガモ
都市部ながらカルガモも訪れていました

社名
学校法人青山学院 青山学院大学
事業内容
私立大学
設立
1949年4月1日
従業員数
964名
URL
https://www.aoyama.ac.jp/
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